第34章 46.Karneades〜Back to Back
一方その頃
石田雨竜は1人で多数の虚と対峙していた。
滅却しても滅却しても数の減らない虚に奥歯を噛みしめる
こんな時に、師匠ならば………
ならばなど、考えていても仕方ないだろうとわかっていても考えてしまう。
構えた弓を引き、虚へと狙いを定め心を落ち着かせようとした直後、その爆音により彼の心は乱された。
「石田ァーーーーーーー!!!!!」
ドカドカと激しい音とともに怒号が辺りに響く。
まるで砂埃のように舞い上がる虚たち、その中心へと視線を向けると、よく見慣れた人物が無茶苦茶な剣さばきでこちらへと向かってくるのが見えた。
(黒崎か………ってそれが僕に戦い方を考えろとか言った人間の戦い方か!!)
そんなツッコミが石田の脳に浮かぶ。しかしそんな石田のことなど知らんというように斬り伏せた虚たちの頂点に立つその人物は、再び石田の名を叫び声を荒げた。
「聞いたぜ!てめーの"戦う理由"!!」
「!」
「死神側が正しいとか滅却師側が正しいとか、そんなこと俺にはわかんねーし言うつもりもねぇ!だけどいっこだけわかることがある!!石田!てめーのやり方は」
「昔話だよ。」
話の腰を折られ、一護が拍子抜けしたような声を出す。
それを気にせず石田はメガネをくいと持ち上げ、言葉を続けた。
「200年前の滅却師の滅亡なんて興味ないよ、そんなの師匠の話でしか聞いたことない、僕にとっちゃただの昔話さ。悪いけど僕はそんな理由で死神に敵対できるほど感傷的な人間じゃない。その滅亡話にしたって、死神側の方が正しいと感じてたぐらいさ………
僕の目の前で師匠が死ぬまでは」