第34章 46.Karneades〜Back to Back
尸魂界では死神の位階にある者達を俗に調整者と呼ぶことがある。
尸魂界と現世にある魂魄の量は常に均等に保たれている 何故だかわかるか?
そうしなければ二つの世界のバランスが崩れ 双方の崩壊を招くからだ。
「その両世界の魂魄の量を調整するのが我々死神の仕事だ、尸魂界から放たれた魂は、死神に見守られて現世に生物として生まれ、現世で死した魂は死神の手によって尸魂界へと還ってゆく、それは虚とて例外ではない。そうして魂魄の運行の全てを死神にゆだねることにより、尸魂界は魂魄の量を把握し現世との調整を計ることができていたのだ。」
ルキアが目を伏せると、一護が何かを言おうと口を開きかける。しかしなんと言えばいいのかと眉を顰めると、彼は再び口をへの字に結んだ。
「滅却師は虚を完全に消滅させてしまう、それはつまり現世に出て行った魂が尸魂界に帰ってこないということ!現世の側にばかり魂魄がふえるということ、つまり現世がわに世界が傾き、現世に尸魂界が流れ込んでしまうことを意味する!」
世界の崩壊
それを一護は理解する。
ルキアはそれでも言葉を続けた。
「……初めて滅却師の存在が確認されてから数年に渡り、尸魂界は滅却師に対して訴えかけを続けた。"虚の対処を全ての死神に任せるように"と。しかし滅却師達は頑としてそれを受け入れようとはしなかった、その間にも滅却師は増え続け、魂魄の運行は乱れ続け世界の崩壊は予断を許さぬところまえですすんでしまっていた。」
そして滅却師殲滅の決定は下された
貴様はこれを死神の傲慢だと断ずるか?
その声が一護の脳裏に木霊する。
次の虚へと駆ける一護、ぽつりと彼は呟いた。
「そんなのよくわかんねーよ………だけど」