第32章 44.Awaken
「破道の四 白雷!」
ルキアの左手から発射される鬼道が、虚の触腕により撃ち落とされる。
それにルキアは舌打ちすると、臨の方をちらりとみた。
(臨殿だって……あんなに囲まれて相手しているのに、汗ひとつ流しておらぬではないか………私はこんな雑魚ひとつに何を手間取っているのだ!!)
虚の腕が鞭のようにしなり、ルキアへと向かう。
(しまっーー)
「縛道の四 這縄」
直後、それに黄色い光が纏わり付いた。
「破道の十一 綴雷電」
爆炎。
「あ、りがとうございます。」
ルキアが礼を言うと、臨は無理はしないでくださいねと刀を振った。
虚たちの仮面が一斉に割れ、次々と昇華していく。
それを背にした臨を見て、ルキアは以前本で読んだ戦乙女を思い出した。
(凄く………美しい)
それに比べてと自身の膝から流れる血液を見つめる。
足手まとい
そんな言葉が脳裏によぎった直後、ポンと頭に手が置かれた。
「えっ」
「姐サーーーーン!!!臨お姉さまーーーーー!!!」
飛びついてくるオレンジ頭。臨はそれを受け止め、その身体を高い高いした。
「コンくん、どうかしたのですか?」
「いやー、一護が死神化したから、姐サンと臨お姉さまに挨拶でもしようかと」
「はいはい、それで本当の用事は?」
「ああっ、そんな塩対応なところも素敵……♡」
呆れたような視線にコンが悶える。
「あ、そういえば、一護に何か持ってこいって頼まれたんすよ。」
「一護くんに?なんかって……」
「何だっけかなあ……ああその神々の谷間に顔を埋めさせてくださったら思い出せる気が。」
直後、ルキアがコンの襟首をつかみ、海老反りにさせた。
「ぎ、ギブギブギブギブ!!ああっ折れる折れる!コレ一護の体っスよ!?折れますよ!?ナイキのマークみたいになっちゃいますよ!!」
ギリギリとコンの腰が音を立てる。
それに苦笑いしていると、臨は後ろに突然現れた気配に振り向いた。
「よかった………無事だったみたいで」
「石田雨竜………」
その人物を見て、コンは声を荒げる。