第25章 25.6/17 op.9
雨に打たれる墓石の前で、一護はポツリと言葉を吐いた。
「ゴメンな、俺……仇打ち損ねちゃったよ………母ちゃん…………」
君の母親を殺したのは、紛れも無い私です。
「俺は」
「うおーい!!」
よく聴きなれた声に、一護が振り返る。
「ナンだよ、いなくなったと思ったらこんなとこにいたのか。」
一心がそう言うと、傘を差し出す。
「ほれ、傘!」
「いらね。」
直後、コメカミに傘の先端が刺さる。
「こんだけ濡れてんだ、今更傘なんて……」
徐々に力強くなるコメカミのかさ。
「あってもなくても……」
直後、イラっとしなのかその傘を奪い取り、一心の頬にクリーンヒットさせた。
傘を広げる一護。
その様子に安心し、一心は言葉を繋ぐ。
「早いもんだな、母さんが死んでもう10年か。」
「6年だろ。」
「…………」
的確なツッコミに一心は黙る。
「……………惜しい!」
「惜しくねーよ!四年違うぞ!四年あったら小学生も高校生になるわ!!」
「うまいこというなおまえ。」
感心する一心にさらにツッコミの嵐を入れる一護。その姿に安心して一心が笑うと、一護は黙った。
「そうしておまえが元気な姿見せてりゃ、母さんも向こうで安心だろうよ。」
「…………あ」
その様子に一心がどうしたと、呟く。
「いや………なんでもねーよ。」
直後、カチリと音を立ててタバコを口に咥える父を見て、一護はやめたんじゃねえのかと聞いた。
「………褒められたんだよ、付き合い初めの頃にな。タバコ吸ってる時の手がかっこいいってな。」