第334章 ???.君が嫌ったこの世界で、君と出会えてよかった。
それから暫くは 会話どころか見かけることすらできなかった。
(今回の成績は 鬼道で二位か……他は……)
「臨ちゃん!」
聞き覚えのある声が 後ろを通り過ぎるのを感じ 振り向く。
「おめでとう臨ちゃん!四科目全部主席とか凄いねえ」
「放せ春水。暑苦しい」
その人物が肩を組むその人に 俺は息をのんだ。
濡れ烏の髪 瑠璃の瞳。
あの子
軽薄なその男が彼女の肩を抱くその姿に 俺は居ても立っても居られなくなった。
「京楽!」
「ん?ああ、浮竹。どうしたんだい?」
その問いに 言葉がつまる。
「え………っと特に用ってものもないんだが」
「ふうん、変なの。それよりも聞いてよ浮竹、臨ちゃん凄いんだよ。四科目トップだって」
京楽が 彼女の脇に手を突っ込み 俺の前に押し出す。
それに彼女は本当に困ったように京楽へと視線を向けると、京楽は何かを思い出したかのように言葉を続けた。
「うちの組の浮竹十四郎、身体は弱いけど凄く頭が良いの。鬼道では二位だって。浮竹、こっちの小さいのは芭蕉臨。僕の姉貴分さ」
「姉と思っていないだろうお前」
すると彼女は 俺を一瞥し 軽く頭を下げた。
「あ」
「春水が世話になっているな。感謝する」
「臨ちゃん人見知りだからこんな風だけど、本当は凄く素直で可愛いんだよ」
「うるさい。それよりも 私はこれから移動教室だ。放せ」
「えー、もう行っちゃうの?いってらっしゃい」
遠ざかっていく細い肩に 視線がとられる。
白い うなじ。
少し高い位置で括られた 髪。
「ははーん」
すると何を思ったのか 京楽は俺の肩に自分の腕を乗せ 何か意味深に笑った。
「綺麗だよね臨ちゃん。美人で頭も良い。もしかして惚れちゃった?」
「い、いや!そういうわけじゃ…」
「臨ちゃん身持ち固いよ〜。護廷にいた頃も浮いた話1つなくてさあ」
「護廷にいたって……彼女死神だったのかい?」
「……知りたい?」