第20章 20.6/17 op.4
夏梨の体が宙を舞う。
その様子に遊子が駆け寄ると、夏梨は再び叫んだ。
「くんなって……ぐあああああ!!!!???」
「夏梨ちゃん!?夏梨ちゃん!!!!」
どうしようもないが、何とかしようと夏梨に手を伸ばす。
すると目には見えないが、何かに触れ遊子はか細い声を出した。
「な……なにこれ………なんなの………やだよう、夏梨ちゃんからどいてよう……」
すると、それは突然遊子の首を絞め上へと持ち上げた。
『うるさいな……このガキは』
「あぁ、ぅあ……っ」
『大した霊力も無いくせにウロチョロとジャマばかり、わしが喰いたいのはこの黒髪のガキだけだ!!』
遊子が必死に酸素を取り入れようと首元のそれを取ろうとする。
『おまえのようなクズなど前菜にもなりはせんが……目障りだ!おまえから喰うとしよう!!!!』
首元のそれに力が入る。
「破道の三十二 黄火閃」
直後、遊子の体がふわりと宙に浮きそれをある人物が優しく受け止める。
その姿に夏梨は驚いたが、同時に安心をした。
「臨……姉ちゃん」
自身をおさえつけていた圧力もなくなる。
同時に優しい暖かさとその香りに、夏梨は自身の意識を飛ばした。