第266章 ---.2
髑髏が地面へと敷き詰められた空間に 一際大きい 人骨のようなものが 髑髏を積み上げていく。
何かブツブツと聞こえる音は それから聞こえているのだろうか
歌のようにも聞こえるそれが 積み重ねた髑髏を その手のひらのようなもので叩き潰すと 骨は一斉に砕けた。
「皇よ」
その言葉に 骸骨が深淵のような瞳を向ける。
それにカタカタと音を立てると その手を伸ばし 自身の主であるその人物の前に右の手のひらをおろした。
芭蕉臨が そっとその手のひらに乗る。
その手は 己の眼前へとあげられ 深淵に赤い光を灯した。
「君を頼ることになってしまいました」
骸骨が カタカタと音を立てる。
悲しんでいるのか 喜んでいるのか
それとも慰めてくれているのかはわからない。
しかし 骸骨はその左腕を伸ばし 臨の黒い髪をそっとなでたことに 怒っているのではないことだけがわかった。
「力を 貸して欲しいんだ」
その言葉に 骸骨がカタカタとなる。
そして臨の胸元にあいた手を当てると そっとそこから 一振りの刃を抜いた。
「…………これは」
骸骨は 答えない。
すると彼は そっと臨を持ち上げていた手のひらを傾け 彼女を落とした。
髑髏の海に 臨が投げ出される。
どこまでも深く
どこまでも暗く