第266章 ---.2
一年と 少し経った頃
尸魂界に平和が戻り
一護が死神の力を失って
一年ちょっと
小さな医院の前で 影がゆらりと動く。
明かりが漏れるそこへと意識を向け 四つの魄動を感じ取ると 臨は少し辛そうに笑みを浮かべた。
花火大会の時 柄にもなく泣いたこと。
ルキアを助ける時に 私が先に入っていたことに気付かずに風呂へと入ってきたこと。
自室で チョコレートを渡した時 なんともいえない空気にしてしまったこと。
なんだかんだ、文句を言いながらも この家に泊まらせてくれたこと。
「私もーーーー………好きだった」
ふわりと影が揺れる。
浦原商店と書かれた看板の下
ほんのりと灯が漏れる。
(黒崎くんね………いつもつらそうなんだ…………)
織姫と再会した時 言われた言葉が忘れられない。
臨が 斬魄刀を強く握りしめる。
「………ごめんね、結局君に 頼ることになってしまったよ」
そっと呟くと 店内へと足を踏み入れた。
「待ってましたよ 臨さん」