第266章 ---.2
桜の花びらが ひらひらと舞い散る。
それが臨の髪に一枚ひっかかると 遠くから彼女を呼ぶその声に 視線を向け笑顔を作った。
「ルキア!織姫!」
その様子に 織姫が目を輝かせる。
そしてそのまま臨へと飛び込むと、その大きな胸へとダイブした。
白い風呂敷が 桜の樹の下に広げられる。
臨はそこに 八段の金の蒔絵の施された重箱を広げた。
「ふわあ!すっごいおいしそう!」
「ルキアのとこの料理番たちと作りまして……そしたら思った以上に量が」
「簡単なものを頼んだのですが……」
そのルキアの言葉に、臨は微笑み告げた。
「"ルキア様が初めて我々に弁当をご所望くださった!"って喜んでましたよ」
「なっ!?」
「たまには我儘を言ってあげてくださいね。あの子達もよろこぶから」
臨のその言葉に、ルキアが目を白黒させる。
「まさか、朽木家の料理番たちも……」
「?、あの子達は私の元部下達ですが……どうかしました?」
その言葉に ルキアが冷や汗を垂らした。
(姉さんの交友関係はいったい……)
「ほらほら、食べますよ」
ルキアと織姫に 美しい彫りの入った皿と金箔で装飾された箸を渡す。
「いただきます」
「いただきまーす!」
「頂きます」
各々が 思い思いの料理を口に運ぶ。
「………おいしい」
久々に口にした姉の料理に ルキアはぽつりと呟くと 臨は嬉しそうにはにかんだ。
「よかった」
臨も一つ 大きな厚焼き卵を皿に乗せて それを頬張る。
織姫はそれにキラキラと視線を向けると 思ったことを口にした。
「臨ちゃん、前から綺麗だなって思ってたけど 会わないうちになんだか凄くセクシーになったねえ」
「んっ、げほっ!!」
臨が噎せる。
それにルキアがあわてて竹筒の水を差し出すと 臨はそれを飲み 落ち着かせた。
それからは いろんな話をした。
現世で無事に進級したこと。
美味しいケーキ屋さんができたこと。
ルキアが副隊長になったこと。
一護が どこか辛そうなこと。