第264章 ---.冬は終わり 椿は夏の夢を見る。
夕焼けに照らされ 臨の膝の上にある皇骸浅打がオレンジへと染まる。
(私は一体、なんなんだ)
目覚めた時から、誰も何も教えてくれない。山本元柳斎重國より導かれた道をただ歩くだけの 傀儡。
(………クシャナーダは私を連れて行こうとした。私は咎人なのか?)
覚えていない、思い出せない。
(総隊長は何かを知っているのに、教えてくださらない)
思い出そうとしても、ただ黒いだけでーーー
「………私は なんなんだ」
ぽつりと呟いたそれが 静かな病室に消えた。