第19章 19.6/17 op.3
青空の下、怒声が飛ぶ。
「なんでついて来てんだよ!!」
するとルキアはたわけと叱咤し、口を開いた。
「私が傍におらねば虚が出たときどうするのだ」
「臨がいんだろ!!っていうかついてくるならもっとコッソリついて来い!」
「臨殿は今尸魂界に戻っておる。」
「………尸魂界に?」
「ああ、緊急招集があってな。」
そう冷たく言うルキアに、一護が違和感を感じ取る。
「おまえ、何怒ってんだ?」
「別に、怒ってなどおらぬ。」
風が吹く。
「…………昨日、貴様の母親は殺された、と言ったな。」
途端に一護の表情が変わった。
「……言ってねーよ。」
「誰に殺された?」
「言ってねっての、忘れろよ。」
「貴様は物心ついた頃から霊が見えたと言ったな。ならば一つだけ答えてくれ、貴様の母親を殺したのは……虚ではないのか?」
無言。
「可能性はあるのだ!物心がついた頃から霊魂が見える程霊的濃度が高かったのなら、その貴様を狙ってきた虚が……誤って母親を」
「やってらんねー!!!!」
一護の大声が辺りに響きわたり、森から鳥が飛ぶ。
その様子にルキアはあっけにとられていると、一護は冗談じゃねーぞと笑った。
「てめーにかかったらナンでもカンでも虚の仕業になっちまうのな。もとからジョーダンじゃねーのにそんな理由にされちゃ、更にジョーダンじゃねーことこの上ねーよ。」
予想が外れて残念でしたと、一護が真っ直ぐにルキアを見る。
しかし、その視線はルキアではなくあるものをとらえた。
「う、ウソ……だろ、なんでこんなとこに………」
「?どうした、一……」
何かから逃げ出すように走り出す一護。
一護が見ていた先へとルキアが視線を向けるが、そこにはなにもいなかった。