第19章 19.6/17 op.3
「ふわーっ!やっぱりここの坂キツいねぇ〜……」
急激な坂道、黒崎遊子はそう泣き言を言うと、夏梨はアタシは別にと冷たく言い放った。
「がんばれ遊子!まけるな遊子!父さんがついてるぞ!!」
直後、後ろからそんな暑苦しい声が聞こえ夏梨の眉間に皺がよる。
「ほれ!父さんなんてホラ!逆立ちして登っちゃうもんね!」
「無視しろ遊子、ああいう手合は相手にするとつけあがる。」
どこまでも冷たい夏梨の言葉。それにそっかあと遊子が返事した瞬間、一心は甘いなとにやりと笑った。
「相手にされんでもオートでつけ上がるんだそれがー!!」
「逃げろ遊子!」
全力で走り出す遊子と夏梨。しかし一心、逆立ちしても尚早い。
その速度ままスライディングすると、彼は遊子のスカートの中を覗いた。
「水玉!」
「失せろ地の果てまで!!」
その勢いのまま夏梨に蹴り飛ばされる。
「大暴落ーー!!父さん大暴落につき本日の東証は大荒れの模様ーー!!!」
「上場からやり直せィ!!」
そんな様子を一護は冷めた目で見ながら、唐突に空を見上げた。
「ふー、しかし……6月だってのに暑いなァ今日は………………同じ6月17日なのに、エライ違いだよな…………」
汗を拭う。
突如、夏梨が声をあげた。
「あれ、先客がいる。」
「ホントだ、あの人もお墓詣りかな?」
二人が見ている方に一護が視線を向けると、そこには彼がよく知っている人物が、こちらへ大きく手を振っていた。
(なんでいんだよ!!)
「手振ってる、お兄ちゃんの知り合い?」
「知らん!俺は知らんぞあんな奴!!まったく全然これっぽっちも……」
「なんかあたしあの人見たことあるような……」
「思い出したァっ!!中学ん時のクラスメイトだ!!バリバリ思いだした!!ヤッベェ!!懐かしすぎて即座に2人っきりで話がしたい気分だ!!」
そういうわけで俺はちょっと話をつけてくると一護がダッシュする。その様子に夏梨はははーんと含み笑いをした。
「何!?ははーんって!?」
「いやいや、あの人もいよいよそういうお年頃になってきたってことさね。」
「何!?どういうこと!?夏梨ちゃーん!?」
「フフフ、あんたもそろそろ兄離れの時期かもね……」