第8章 誠凛へ
「じゃあ今日の練習はこのくらいにしましょっか!」
お昼を食べたあとも練習は続いていき気づけば終了の時間となっていた。外は夜に向かってオレンジに染っている。
周りが支えてくれたおかげで足を引っ張ることは無かったか、と考えていると桃井が苗字に寄ってきた
「名前ちゃんかがみんに告白は?」
『け…決定事項なの?』
ニッコリと可愛い笑みを浮かべた桃井はクルリと回って「かがみーん!」と大声で火神を呼んだ
遠いが「あ?」とだけ返事したのだけ、口元を見るとすぐにわかる
『さ、さつきちゃん……!』
「名前ちゃんとスクイズ一緒に洗って?」
「ああ、別にいいけど」
スクイズを籠に入れて水道までやってきた。さっきから心臓がバクバクしてしまい、上手く火神と距離を上手く取れていなかった
それに気づいた火神が「どうしたんだ」と声をかけると彼女は意を決して彼の方を向いた
『あ、いや…あのね』
「おう」
『私、ね』
「…」
『火神君のこと、好き、なんだと…思う…』
「…思うってなんだよ」
『え、あ、いや、私…恋ってものするの初めてだから…これが恋なのか…は、少し、確証がなくて…』
顔を赤らめる苗字を見た火神は素直に可愛いと思った。だが彼女が恋と言っている感情が赤司に自分を重ねているものだと思うとどこか気持ちがガックリとしてしまう
それでも自分を好きと言ってくれる好きな人は嬉しくて、遊びでもいいと言って告白するやつの気持ちがわかる気がした
「じゃあ付き合うか」
『えっ』
「告白して上手くいったら付き合うんだろ?」
『…そ、そうだけど…火神君、私のこと、すすすす好きなの?』
「そう、だな」
人の感情に鋭い彼女は分かっているかもしれない。それでも彼女火神の答えに首から顔まで真っ赤に染める。そんな姿の苗字を見た事がなかったから、また可愛いと思ってしまった
自分の頬が熱くなっていくのを隠すように、苗字の頭を掴んで髪をガシガシと乱す
『わ、ちょっと、火神君?』
「よろしくな苗字」
『よろしくね火神君』
そっと拳を突き出すと、意味がわかったのが自分のものより小さく色白な拳をコツンッとぶつけてきた。ふわりと笑いかけてくる苗字に自分も笑いかけた