第8章 誠凛へ
その後のことは苗字自身あまり覚えていない
気づいたら火神に連れられて帝光とかの連中の前にいて付き合ったことを報告されていて顔を真っ赤にしたのだけ彼女が拳ぶつけたあとの最初の記憶である
真っ赤になっている苗字を見た赤司が「良かったね」と声をかけると、恥ずかしそうに逸らしていた視線を合わせてから「ありがとう」と笑った
その笑顔があまりに幸せそうだったからか、赤司はらしくもなく彼女の髪を両手で掻き回すように乱した
『え、ちょ、赤司君なに…?』
「あまりに幸せそうだからね。こうすれば、オレにもくるかなって」
『…赤司君そういうの信じるタイプ?意外』
「いや、あまり信じてない」
彼の返答に虹村が「緑間はともかく赤司が信じてるなんて言ったらヤバい」と言ったのには、みんなうんうん頷いていた。緑間が少し不満そうだったのはまあ仕方ない
その事を思い出してクスクス1人部屋で笑っていると黄瀬からメッセージが届いた。まだ起きてるかと言った短文と可愛らしくスタンプが貼られている
起きてることを伝えるため返信すると直ぐに電話がかかってきた
『黄瀬君?』
「夜遅くにごめん名前っち!
今日誘おうと思ったんだけどバスケ楽しくてすっかり忘れちゃって!」
『…誘う?』
「海常のインターハイ予選っス!笠松さんと森山さんが良かったら連れてこいって言ってくれて…あ、火神っちも良いって言ってたから!」
『そっか、笠松さんと森山さんが…』
なんとなく気にかけてもらえたのが嬉しくて笑みが零れて言葉にするのが遅れてしまった。それを予定が入っているのと勘違いされたのか「行けそうならでいいんス!予定入ってたら…また、別の日で…」と彼は何日か候補の日をあげてくる
『ううん。大丈夫。行く』
「やった!じゃあオレ迎えに行く!
あ、でもこれ森山先輩に言ったら絶対邪魔しに来るから言ったらダメっスよ!」
『う、うん』
「2人だけの秘密っスね。あ、でも火神っちには言っとく。絶対名前っちのこと心配するし」
一方的に色々喋ってくる黄瀬に苗字は話題が尽きないことに時間を忘れてしまう
既に半周進んでいることを確認しつつ聞き役に徹していると、彼が不安そうな声で名前を呼んできた