第8章 誠凛へ
『もしかして灰崎君よりマシって』
「ああ、コイツ電話したのに出ねえっつーから起こしに行ったんだよ」
「起こすなんて甘いモンじゃねぇだろアレは…」
「あ?」
「なんでもねーよ!」
彼女は目の前の2人と誠凛の先輩達が来ることを知らなかったが、みんな自分の為にと集まってくれたのだと思うと嬉しさが込み上げてくる
とりあえず、今いる3人だけに「お忙しい中、ありがとうございます」と頭を下げると揃って照れだした
「なんだよ気持ち悪いな」
「別に気にしなくていいのよ。アイツらだって来たくて来てるんだから
なんだかんだ言って後輩が大事なのよ」
「オレの先輩もそんくらい大事にしてくれねぇかな…」
「あ?」
「ナンデモナイデース」
くすくす笑うと虹村は苗字にもギロっと睨んだから、コツっと頭を軽く叩いてそれ以外何もしなかった
灰崎と虹村は練習に参加するため着替えると言い更衣室に言ってしまったが、残ったメンバーで会話を交わしながらスクイズを作り持ち運び用のカゴにひたすら入れていく
作業が終わり体育館に戻ってから少しすると外を走っていた彼らがだんだんと戻ってきた
「誠凛の掛け声でやるの違和感あるわ」
「わかるっスー!!海常の時のが染み付いてるんすかね」
「ほらー!ドリンク飲んだら次の練習するわよ」
息を切らしながらも会話を交わす彼らに相田はいつも通りの指示をしていく
ドリンクを飲んだら。という指示から苗字は戻ってくる彼らにスクイズを渡して行った
「ちゃんとマネージャー業できてるじゃないか、えらいぞー名前」
『なんか体が覚えてて』
「ドリンクもちゃんと出来てるし…おい木吉、お前また背伸びたか?」
「伊月も伸びてるだろー?」
ケラケラ笑う木吉の背は彼の言う通り確かにまだ伸びていた。伊月とて平均身長以上はあるが、彼はバスケ選手であるがゆえもう少し身長が欲しかったところ
だから木吉がまだ背が伸びていることが羨ましかったが、こればっかりは遺伝等の問題である。彼を責めても仕方ないとわかっている伊月はため息を吐いてからドリンクを戻しいち早く筋トレを始めた