第7章 帝光へ
「わ…すごい」
初めて彼らのバスケを見た彼女は思わずそう呟いた。中学生と大学生という差もあるのだろうが、彼らだけレベルが違う
そんな彼らにローテーションでキセキの世代に挑み続けていたのだが、みな瞬殺のためおよそ30分程で何周したのか分からなくなっており、後輩の一部は疲れが見えているようだった
しかしそれは、彼にも同じだった
「ボクもう限界です…」
そう言って倒れた黒子の近くにはたくさんの現帝光バスケ部員が同じように倒れており、体育館が大変な状態になっていた
こんな状況に慣れているマネージャー達は彼らにタオルとドリンクを配って回っており、そんな中でも桃井はなぜか苗字にドリンクを渡した
『…私?』
「うん!これをね、大ちゃんに投げてほしいの!」
『え、投げる?』
「うんうん!」
『…え?』
「大丈夫だから!大ちゃんに向かって投げて投げて!!」
『え、え?』
「せーの!」
反射的にスクイズをぶん投げると、苗字は「あ」と言う顔をした
スクイズはそのまま宙を舞い、緑間のスリー並に綺麗に青峰の頭に華麗にヒットし中身がぶちまけられた
「はははは!なんだ青峰お前びしょびしょじゃねぇか!」
「…」
びしょびしょになったことに怒るかと思ったか、青峰は驚いたような表情でこちらを見ていた。いや、いきなり水(スポーツドリンク)をかけられて驚かない人なんていないだろう。が、彼は別のことに驚いているようだった
別のことに覚えがない彼女は慌てながら青峰にタオルを渡して、謝っていた
「いや、今の名前ちんじゃなくてさっちんの差し金でしょー?」
「えぇ!?名前っちが自分でやったんじゃないんスか?!」
「…おいさつき、どういうつもりだよ」
青峰に問われた桃井は笑みを浮かべながら彼に説明をし、聞いた彼らは理解しこの状況を受け入れた
話が分からない名前は何となく中学時代の自分が同じことをしたのだと察し、笑みを浮かべた
もう少し昔の話を聞こうとすると休憩終了との指示が出てしまい、彼らはコートへと戻ってしまった