第7章 帝光へ
「名前ちゃん」
『わっ』
壁にもたれかかっている彼女に桃井が声をかけると全く気配を感じ取れなかったのか目を見開き驚きをみせた
苗字が桃井へと目線を移動させると、視界に現在バスケをしている3人以外の姿があり、「先に行っちゃってごめんなさい」と伝えようと口を開くとそれより先に「あぁぁぁぁぁ!!」と声が上がった
「キセキの、世代!!」
「青峰さんが言ってた他の皆も来てるってウソじゃなかったんですね!」
「何でオレが嘘ついてることになってんだよ」
「キセキの世代に、幻の6人目、聖母に、あぁぁぁぁぁ!生きてて良かったぁぁぁぁ!!」
「おいお前ら!先に挨拶だろ!?」
「うっす」
「「「おはようございます!!!」」」
ほんの10秒程度で起こった事に彼女は戸惑いを見せたが、新たに来た5人は笑みを浮かべたり、お菓子を食べたり、メガネのブリッジをあげたりとそれぞれ反応を見せる
中でも赤司は1歩前に出て、「おはよう」と声を掛けて微笑んだ
その一瞬の出来事で、マネージャーが倒れそうになっていたのはさすがの一言に尽きる
「こんな朝からお邪魔してしまって悪いね
改めて、帝光中学バスケ部元主将の赤司征十郎だ
他の奴らも、自己紹介するべきかな?」
「い、いえ、大丈夫です」
バスケ部の現主将が軽く自己紹介をし、赤司と握手を交わした所に現在の監督である真田が体育館の中へと入ってきた
3年という月日が経ったにも関わらず、真田コーチという存在を知っている彼らは彼の変化の無さに思わず笑みを浮かべる
「真田コーチ、お久しぶりです」
「久しぶりだな赤司、話は聞いたが…大変そうだな」
「まあ大丈夫です。なんとかなりますよ」
「そうか、今日は参加してくれても構わない。むしろ後輩達の相手をしてやってくれ」
「喜んでお受けします」
先ほどより挑発的な笑みを浮かべた赤司に背筋に寒気を感じたのは恐らくその場にいたバスケ部員全員だろう
顔色が悪くなった後輩達は、先ほどの「おはようございます」より明らか元気がない声で「よろしくお願いします…」とお辞儀をし、キセキの世代達による指導が始まった