第52章 ケーキ
エアコンが付いていたので夏だということをすっかり忘れていた彼らは暑さに焼かれながらアスファルトの上を歩き始める
もう日傘がなくても平気そうな日差しだが、紫外線が気になるとカバンに入っていた日傘を差した
『征十郎、日傘入る?』
「それなら傘はオレが持とうか」
『…ありがとう』
「こちらこそ」
傘を渡す際に手が触れる。1人用の小さい傘になんで2人で入っているのか疑問に思いながら赤司の腕に苗字の肩がぶつかってしまい、やはりこのサイズでは厳しいかと笑い合った
『後悔してない?』
「何に対してだい?」
『…プロポーズ』
「するわけないだろう」
『そっか』
「小学生の頃から名前の隣に立っているのはオレがいいと思ってたよ」
『…そう?』
「高校も一緒に行けるものだろうと思っていたんだ。だから洛山に行こうとフラれた時は寂しかったね。」
『別にあたしがいなくても大丈夫だったでしょ』
「大丈夫なら消える夢を何度も見るわけないだろう」
『すみませんでした』
「今回も名前を探すのに京都や合宿会場や小学校まで行ったくらいだ」
『本当にすみませんでした。反省してます』
「…だが、これから一緒にいられるなら頑張った甲斐があった」
夕日に照らされた赤司が嬉しそうに笑う
黒子ほど感情が表に出ないタイプではないのである程度の喜怒哀楽は分かるが、ここまで分かりやすくニコニコしているのはいつぶりだろうと彼の心の内を想像しながら彼の持つ日傘の柄に手を重ねた