第51章 ずっと一緒に
「返事は?」
『いや全然、あの…いいんだけど、その』
「その?」
『…いきなり結婚?』
「同棲をしてからがいいなら一緒に住もうか」
『逃がす気なさそう』
「もちろん。あるわけないだろう」
愛おしそうに右まぶたに唇を落とした赤司は答えを待つ
しかし彼が行った動作で彼女は願いの話に埋もれて聞きたかったけれど忘れていた質問を思い出した
『ごめん全然ムードないこと言っていい?』
「ああ」
『不思議な空間で征一郎に左まぶたキスされたんだけど、浮気に入る?』
「…それを今聞くのか」
『分かってるよ…どうしても気になっちゃって、ごめん』
プロポーズの答えを後回しにされたこと、苗字が自分以外にキスされたこと、はたまた両方に対して不機嫌になったのか珍しくむすっとしている赤司が彼女の左まぶたをなぞる
「オレ以外にキスされたということだね?」
『まぶた!まぶたにね?』
「虹村さんみたいな事故なら許そう」
『あの時付き合ってなかったじゃん』
「とは言え許してないよ」
『…なんか忘れ物って言われてまぶたにキスされた
戻ったら分かるって言われたから、多分瞳の色が変わったのもその理由だと思う』
「忘れ物か」
『…うん』
また会えると言っていたのでまたの機会ではダメだったのかと赤い瞳の中に映る自分を見つめる
今までと違うのは一色になった瞳。これも彼のいう試練を乗り越えた結果なのだろうかと苗字が自分とにらめっこしているのを見た赤司は溜め息を吐いてまばたきを1つした
「もう1人のオレが名前のことをどう思っているかは分からないが、理由もなくそういうことをする奴ヤツじゃないことは知っている」
『うん。そうね?』
「だがもし今度会ったらオレの代わりに殴っといてくれ」
『怒ってるじゃん…怖』
「怒るに決まっているだろう。昔から名前は注意力がないからね
だから虹村さんの卒業式みたいなことになるんだろう」
『急に説教始めないでよ!』
確かに注意力が足りなかったからあんな事態になったのは分かるが、そもそもこのあとキスされるかもしれない!と思って生きていない
だがこれで浮気になるのか懸念していたことは許されたようだと安心し溜息を吐くと、赤司が苗字の左手を丁寧にとる