第41章 練習試合
「まーオレは出れねーけど、応援するよ。もちろんウチの学校のな!」
『それはもちろん。なんで帝光応援するのか分からないし』
「そりゃそーだな!」
ケラケラと笑う高尾の隣でドリンクを作り終えた苗字は最後の1つの蓋をしめてカゴに入れる
カゴ満杯に入ったそれを確認していると高尾も準備が終わったらしく、自分たちのチームより多いそのドリンクの入ったカゴを見てから苗字を見た
「一緒に持ってこっか?」
『大丈夫。意外と力あるんだよ』
カゴの持ち手を取り、見事持ち上げた苗字だがそこから数歩歩いた後、重かったのかカゴごと下に降ろした
横を歩いていた高尾もカゴを置き、持ち手を握っていたところが真っ赤になっている彼女の手を見る
「オレ帝光の持ってくから、代わりにウチの持ってってくれよ」
『…ごめん。思ったより重かった』
「普段どーしてんの?」
『マネージャー何人かと分けて持ってってるよ』
「今日は?」
『スコアブックの準備とか、色んなのに追われてるみたい。重い仕事だし普段やってるし、任されちゃった』
こればっかりはどこの学校も年功序列なんだろうと高尾と配置を変え相手校のカゴを持つ
重いが帝光に比べれば軽いソレを体育館の前まで運び、流石に中に入る前にお互いのカゴを交換することにした
『ありがとう和成、助かっちゃった』
「おう。落とすなよ」
『うん。気を付ける』
「なあ、名前ちゃんの連絡先聞いてもいい?」
『え』
「今携帯ある?」
『ごめん今ないや…紙、も、ない』
「じゃあオレの携帯にアドレス打ち込んで!」
高尾がポケットから携帯を取り出し、アドレス新規登録の画面を開き渡す
まだスマホも出ていない、2つ折り携帯で赤外線通信が主流の時代
受け取った苗字が素早い速度で入力し、帰って来た携帯の画面に苗字名前が表示されてるのを見た高尾が笑った