第19章 大晦日
道には色とりどりの提灯が並び、境内に入ると並んでいる屋台に火神の目が光った
そんな彼を見て確かに夜ご飯を食べてないからお腹が空いたと、今更空腹を感じる
「苗字、屋台寄ってもいいか」
『うん。年明けたらお参りしよ』
年が明けるまでまだ時間があると、火神と食べ物を一緒に買いに行く
流石に手をつないだままでは買い物できないため離される。もう繋いでいなくとも良いのだが、なんだかぬくもりが名残惜しくなった
そんな考えに気が付かない火神はいろいろな食べ物を買い、苗字はそれを少し分けてもらいつつ肉巻きおにぎりを1つ食べだいぶお腹が膨れる
『そろそろ行こっか』
「ああ」
時間もだいぶ良い時間になってきた。拝殿の前には人が並び始めており、そろそろ並ぼうかと提案され行列に並び、どこからともなくカウントダウンが始まり年が明ける
別に何が変わったわけではないのだが、また新たな1年が始まったのだと周りの雰囲気で実感する
スマホにあけおめメッセージが来ており、みんなまだ起きていることが伺えた
「今年もよろしくな苗字」
『こちらこそよろしくね火神君』
新年のあいさつもしたところでと、初詣の列が動き出す。行列ではあるが待っていれば当たり前に順番がやってきた
今年もみんなと一緒にいれますようにとお願いすると、一瞬頭がチリッと痛くなる
すぐに収まったそれは気にするほどでもなかったので、火神に伝えることなく歩き始める
とりあえずおみくじを引こうとまた行列に並ぶ。火神が疲れていないか心配になりちらりと見るが、特に疲れた様子もなさそうだった
それはそうだ。休みの日朝から晩までバスケをしている人なのだから