第51章 ずっと一緒に
『泣かないで征十郎』
「また名前が消えてしまうんじゃないかと、ずっと不安だったんだ」
『…ごめん。トラウマにさせたよね』
「夢で何回も消える瞬間を見たよ」
『う…ほんとごめん』
赤司が苗字の手に添えていた手を背中に回し、抱きしめる
それを拒むことなく彼女も静かに泣く赤司の背中に腕を回し、あやすように優しくポンポンと彼の背中を叩いた
「昔もこうして、名前に慰めてもらったね」
『征十郎のお父さんとバトルしたときね。懐かしい』
「…その前もあっただろう」
『ありすぎて覚えてないよ』
中学生の時もこの部屋で泣く赤司のことを慰めたなと当時中学生の自分たちの事を思い出しながらすっかり大きくなってしまった彼の頭を撫でた
「…これで、ずっと一緒にいられるんだね」
彼のお母さんが亡くなった時もそうしたし、小学生の頃から支え合って生きてきた
喜んでくれているようで良かったと無言で彼の旨の中に収まり、彼が泣き止むのを待つ
どのくらい時間が経ったのか、涙が止まった彼は腕を緩める
先ほどまで赤司の髪を照らし差し込んできた夕日は今度、苗字の事を照らしていた
ずっと一緒に居てほしいという気持ちは小学生の頃から変わっていない
夕日のおかげで神々しくも見える彼女の姿を見た赤司は嬉そうに笑う
「名前」
『ん?』
「白雪姫の時に言ったこと、本当にしてしまおうか」
『…白雪姫の時に言ったこと?』
頬に手を添えられ、至近距離にある赤い瞳がそのまま近づいてきて、気が付けば唇が重なる
エアコンの稼働音と窓の向こうからセミの鳴き声が良く聞こえるほど静かな空間の中、互いの心臓が早く動いていた
「結婚しようか、名前」