第18章 ウィンターカップ 後編
食べ物も飲み物も無くなり段々眠気が襲ってくる人も現れたので帰る流れになった
疲れている選手達を先に返し、応援していたメンバーで後片付けをする
先輩達が帰るところで、降旗達も一緒に帰した
あとは洗い物だけだったので苗字と黒子で皿を洗い、火神が片付けて部屋は元通りになった
「じゃあ帰りましょうか」
「送ってく」
『いいよ2度手間だよ火神君』
「遅くなっちまったから心配してんだろ」
『う…なんかごめんね。往復させて』
申し訳なさそうにする苗字に火神が「気にすんな」と言いながら靴を履く
彼が立ち上がったところで、彼女の視界がぐらりと回った
「忘れてて、悪かったな」
『…うん』
「オレは何が起こってるのかわかんねえけど、明日勝てばいいんだろ?」
「分かってよバカガミ」
「ああ?!」
『…まー、勝ってくれれば文句はないよ』
息が乱れた。怖い夢を見た後のような変な汗が出てくる
倒れはしなかったが、様子がおかしい苗字の姿に火神が声をかける
「大丈夫か」
ドアノブに手をかけていた黒子もその声を聴いて振り返った
『大丈夫、頭痛もないし目も眩んでないよ』
「なんか変な汗かいてっけど、へーきか」
『…ここで、私のこと思い出した?』
2人の目が大きく見開く。もしかしたらと思っていたが彼女は見えたのだろう、3年前の洛山戦前日の誓いを
「…ああ、オレも少しだけど苗字に会ったことがあるからな」
『…そっか、火神君もそうなんだね』
「今回はどんなだったんですか?」
『火神君が忘れてたことを謝ってたよ。あと明日?勝てばいいとか話してた』
「やはりそれはウィンターカップ決勝の前日だと思います」
「ちょうど今頃だな」
いつもと違い体調に問題なさそうな苗字に安心したのか黒子が小さく息を吐く
もう夜遅いからと、歩きながら話すことにした
火神とどんな関係だったのか、2つ記憶があるというのはどういう感覚なのかそんな話題をし、家の前に辿り着く
『ありがとう火神君、黒子君』
「はい。よいお年を」
『そうだね、来年もよろしくね』
「…大晦日よろしくな」
『うん。よろしくね』
にこりと笑った彼女はそのまま門を潜り、家に入っていった