第18章 ウィンターカップ 後編
席に着くと苗字の隣に夜木が正座で座り、ぱっちりとした目でこちらをまっすぐ見ている
「名前先輩、3か月間本当にありがとうございました」
『夜木君…こちらこそありがとう。滅多にできない経験させてもらいました』
「名前先輩さえ良ければいつでも来てください!待ってるんで!」
「マジ待ってます!」
「ドリンクマジ美味いっす!」
そんな風に言ってもらえるとはと、今の2年生達を見てふんわりと苗字が微笑む
2年生は「約束ですからね!!」と苗字に詰め寄る。酒は入っていないにも関わらずみんなテンションが高い
「去年準優勝で今年3位か」
「来年は優勝だな!」
「オレもゾーンは入れるようになりたいです!」
「僕も変幻自在のパス出したいです!」
「目標を持つことはいいことよ!達成しなさい!」
冗談で言っていたことなのに、監督である相田はニッコリ笑っているが、彼女だってわかっている。ゾーンは選ばれたものにしか入れないことを
今年のウィンターカップではそんな人は現れなかった。正に去年までの3年間は奇跡だったのだろう
盛り上がっていく室内に、苗字が小さく溜め息を吐く
そっと抜け出してベランダに行くと黒子が夜景を見ているところだった
『黒子君』
「名前さん、寒いですよ」
『うん、寒いね。でも中ちょっと暑くて』
「そうですね、ボクもです」
着ていた上着を苗字に渡し、黒子は再び夜景に目を向ける
「ボクも、バスケがしたくなりました」
『本当にみんな、バスケが好きだね』
「はい」
にこりと笑いながら頷く黒子に苗字も笑う
たまたま起きた黒子と2人きりという環境。彼女は気になっていたことを聞くことにする