第18章 ウィンターカップ 後編
眩しい光にぐらりと身体が揺れ、まるで水中から上がったように息を吸い込んだ。そして襲ってくる頭痛は、予想通りだがいつもより酷い
「名前さん!」
「おい、苗字!大丈夫か!」
大丈夫と伝えたいが、息がうまく吸えなくて言葉にできない
先月の合宿の時のように、黒子が背中を撫でてくれたことでだんだん落ち着いてくる
「大丈夫か」
『もう大丈夫。ありがとう』
火神が黒子に指示され買ってきてくれたお茶を飲みながら呼吸が落ち着いた彼女は息を吐く
何を聞かれるかわかっている苗字は聞かれるより先に見た内容を話し始めた
『黒子君と、火神君がいた』
「ボクたちが…?」
「道でさっきみたいに拳合わせてたんだ。けど、黒子君が立ち止まっちゃって…不思議なこと言ってた」
「不思議なこと?なんだそれ」
『…キセキの世代は、バラバラになってなかったって』
どの場面か分かった黒子は目を見開く。自分自身が苗字のことを思い出したときの場面だと
しかしあの時はまだ彼女はこの世界に戻ってきていない。なら、彼女自身の記憶を見ているわけではないのだと察する
ただ、彼らに2つの記憶があることは説明がつかないし、なるべく苗字のことを混乱させるようなことは避けたかった
ただでさえここ数日連続で何かを見ているのだから
「いずれ話します。今日は帰りましょう」
「そうだな、苗字疲れてんだろ」
『…そうしようかな。ありがとう』
ストバスコートからの帰り道過剰な心配を2人から受けながら苗字は帰宅した
2人の言う通り疲れていたのか、布団に入るとすぐ寝てしまう
何か夢を見た気がしたが、起きたころにはすべて忘れてしまっていた