第18章 ウィンターカップ 後編
『2人ともお疲れ様』
「軽くだって言ったのに…火神君ひどいです」
「いやお前が弱すぎるんだって」
「火神君に比べたら弱いに決まってます」
そこまで息を切らしていない火神と、ぜえぜえと息を吐く黒子に苗字が自販機で買ったドリンクを渡す
ゴクゴクと勢いよく飲み、キャップをしめながら黒子と火神が会話をする
「もう一緒に公式試合出ることもなくなっちまったからな」
「今度ストバスでも一緒に出ましょうか」
「その前に早く1部リーグ上がって来いよ」
「もちろんです。必ず上がります」
「待ってんぞ」
拳を差し出す火神に黒子も拳を合わせる。彼らはたまにそれをやっていたが、世界が変わる
どこかの道を歩いている黒子と火神の後ろにいるようだった
「とっとと強くなりやがれ、そんで見せつけろ。新生、黒子のバスケを」
先ほどのように拳を合わせた彼らは少し幼く、服装も学生服の夏服を着ているようだ
ああ、またかと理解する。今日2度目、今シーズン何度目だろうと思ったが今回は自分自身がいないことに苗字が気づく
何を見せられているんだろうと考えていると、黒子が立ち止まった
「…名前、さん」
「あ?どうしたんだよ黒子」
「火神君、苗字名前さんって方を知っていますか?」
「いや、知らねえけど…そいつかどうかしたのか?」
「…いえ、なんでもありません」
再び歩き出した黒子だがどことなく様子がおかしい気がする
「何難しい顔してんだよ」
「火神君…キセキの世代は、バラバラになんてなってなかったんです」
「は!?でもバスケの記事とか、お前も言ってたじゃねーか!」
「桃井さんの話は、間違ってなかったんです」
「…桃井?桐皇のマネージャーのか?」
「はい」
段々といつもの光が襲ってくる。何の光景かもわからないまま光が眩しくなっていく
「なんで、消えてしまったんですか…」
ただ意識が遠のく前、黒子の言葉だけ耳に届いた