第18章 ウィンターカップ 後編
帰り道、いつも通り火神が苗字を送ろうとすると黒子もついてきた
連日して頭痛を起こしている彼女は顔色が悪かったので、心配だからと黒子もついてきたのである
『黒子君がついてきてくれてよかった。話があったんだ』
「また、見えましたか?」
『うん。紫原君と2人だった』
そう思うと本当にトリガーがわからない。彼女の傍に本人がいることが条件かと思ったが、確かに黄瀬も近くにいるときじゃなかったと言っていた
彼女自身も何を見ているのかはわからない
自分の記憶だと思っていたが、自分を第三者から見ているあたり自分の記憶とは違うものを見せられているようだと思う
2人も考え込んでしまい沈黙が続くが、空気を読んだ火神が話題を変える
「明日で終わっちまうな」
「毎年のことですが早いですね」
確かにと苗字が無言で首を縦に振る。間違いなくこの期間はあっという間だった
大学だけ行っていた1週間とほぼ同じ長さのはずなのに、感覚が全然違う
やはり何かに忙しかったり何かに打ち込んでいたほうが時の流れが早いんだろうなと思いながら歩みを進める
しばらく歩いていると、ストバスコートが見えてきた。いつもは火神1人のためスルーすることが多いが、今日は黒子がいることと洛山との試合を見たせいか寄ることになった
明日も試合だといっても、観客である彼らには関係ないので常識の範囲内で遅くなるのであれば問題ないだろう
苗字はベンチに座り火神と黒子の対決を眺める
待っているだけだと寒いので、マフラーか手袋をして来ればよかったと後悔した
それでも火神のプレイを見るのは好きだ。なんだか元気が出る気がする
見ていると、予想の通り対決は火神の一方的な勝利に収まる
軽くだと言っていたのに、気が付けば黒子は息は乱れ汗だくになっていた