• テキストサイズ

【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《4》

第18章 ウィンターカップ 後編





後半戦、誠凛のわずかなリードからスタートする

レベルの高い洛山の選手だが、誠凛の選手とて負けていないし2年生の選手だって引けを取っていない


「行け行け誠凛!」

「決めろ!朝日奈ぁ!!」


試合終了のブザーが鳴った時、誠凛は洛山の点に少し足りなかった。瞬間、夜木が崩れ落ちる

だが余韻に浸る間もなく整列の号令がかかる

そしてそれは客席も一緒。あと一歩洛山に届かなかった事実に日向や小金井、もちろん降旗達も鼻をすすっていた


場所は変わって控室、朝日奈と夜木が泣きながらお疲れ様の意を込めてなのかハグをした

その時、また景色が変わる


「名前ちん、マネージャーじゃなかったんだね」

『うん。監督だったね』


涙を流す紫原が苗字のことをすっぽり隠すように抱きしめる

持っていたタオルで彼が流す涙を拭うが、まったくもって止まらない。何なら抱きしめる力を強めていた

それを拒否することなく笑う彼女の目尻からは涙が流れている


「あ、名前ちんチョコ食べるー?」

『立ち直り早いな』


どこからともなくチョコを取り出した紫原は1欠片苗字の口に咥えさせる。そのままパクっと食べた彼女は嬉しそうに笑った

そんな様子を見ていると、またあの眩しい光が起きる

さすがにこの場で倒れるわけにはいかないと、足に力を入れる。すると隣から腰のあたりに手が伸びてきて、支えてくれる


「大丈夫か」


火神だった、前を向いたまま小声で話しかけてきていたので、お礼だけ伝えて何とか持ちこたえる

そんな中、夜木と朝日奈から先輩後輩へのお礼の言葉、後輩からの感謝の言葉、おおよそ2か月間の短い間だったが、これで先に進むのは終わりなのだということがようやく実感して目頭が熱くなってくる

あんなに一生懸命練習したのに、あっという間に終わってしまったのだ。ほかの人に比べれば薄っぺらい関係なのに涙が溢れてくる

だが目元に涙を浮かべているのは周りも一緒のようだった


「明日の3位決定戦は絶対勝ちます!応援よろしくお願いします!」


夜木と朝日奈はそれで公式試合最後となるため、引退してしまう

相手ももちろん一緒だとわかっているのだが、どうしても彼らを勝たせてあげてほしいと願いながら、涙を拭った







/ 244ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp