第18章 ウィンターカップ 後編
相変わらず何を考えているかが読めない黛が去ってしまったので赤司と2人になる
彼は周りを見渡し苗字に問いかけた
「黒子と火神は一緒じゃないんだね」
『さっき黛さんにも言われた。落ち着かないから1人で来たんだよ』
「そうだったのか」
そう言いながら赤司は自販機で缶ではなくペットボトルの冷たいお茶を買う
「たしかに、落ち着かないね」
『赤司君も?』
「ああ、後輩を応援する側はこんな気持ちなんだね」
ほほ笑む赤司は相変わらず綺麗だった
いつかの夕暮れ時の景色の見ていた時のように目が離せなくて、瞬きも忘れて見つめていると赤司と目があった
そこでようやく、自分が見とれていたことに気が付いた。なんだか気まずかったのでお茶を飲んだが空になってしまう
「誠凛には負けないよ名前」
『赤司君は手ごわいからな』
「ポーカーで勝ったじゃないか」
『あれはわざと負けたんでしょ?』
「さあね」
はぐらかすがあの帰りでも、今日も彼は否定しなかった。黛と赤司がどんなやり取りをしたのかは知らないが、恐らく苗字は酔った黛にいいように使われただけだったんだろう
そして見抜いていた。赤司が苗字を1回は勝たせることを
あくまで推測でしかないので彼女はそれ以上問い詰めるつもりはない。あのゲームで苗字に失うものも、マイナスになったこともなかった
「そろそろ始まるかな」
『あ、そうだね。行かないと』
「また来年かな」
『そうだね。また来年』
「良いお年を」
去っていく彼の背中を見送り、空き缶をゴミ箱に捨てる
試合再開が近いからか周りに人は少ない。人をかき分けることなく進める歩きやすい道を歩いて、彼女は観客席に戻った