第16章 臨時マネージャー就任
部屋に入り荷物を置くと、火神が手を洗えと母親のようなことを言うので手を洗い、料理を始める
火神は相変わらず手際よく料理していく。苗字も手伝うが、本当に手伝うことしかできない
気づけばご飯が炊きあがり、カレーが出来ていた
『火神君のご飯大盛りにしておくね』
「おう、サンキュ」
『このくらいかなー』
「まだ盛ってへーきだ」
「まだ盛る…」
かなり盛ったつもりだったが予想外の反応に驚いてしまう。鍋1つ分食べきってしまうのではないだろうかと不安に思いながら、ご飯を追加しルーをかける
カツをのせたかったが火神のは山盛りの為、別の皿に2枚添えた。カレーの量に対してカツがおまけの小鉢みたいな状態になっていることに笑ってしまう
一緒に席に着いて食べると、カレーの風味が口の中に広がる
『うん、美味しい!さすが火神君』
「切って水入れてルー入れただけだけどな」
『それだけなのに作る人によって味違うよね、なんでだろ』
解決しなくてもいい疑問を考えながらカレーを口に運んでいると、苗字が半分も食べていないのに火神がおかわりを始める
食べる速さに驚いたが、ゆっくり食べろなんてことを今更言うつもりもない。食べることは彼のアイデンティティだと思っている
火神より少ない量を食べているはずなのに食べ終わるタイミングはほとんど一緒だった
『お皿洗うね』
「置いとけよ、後で洗う」
『ううん。結局お金出してもらっちゃったし、洗う』
洗い終わりふと棚の上に置かれた写真が目に入る。卒業式とウィンターカップを優勝した時の写真だろう
その下を見ればバスケ雑誌の横に違う雰囲気をまとった本がいた
『火神君、これアルバム!?』
「ああ」
『見ていい?』
「別に今と変わんねえと思うけどな」
『気になるから見るね』
最初とったのは小さい頃からのアルバムだった。幼いころの火神君可愛いなあとニコニコしていると、それとは別でもう1冊、表紙に3年間お疲れ様と書かれたアルバムを見つける
『高校生の時の写真だね』
ところどころにあるメッセージや、火神がこのような物を作るタイプではないことからこれは誰かからもらったんだろうかと推測しながら、ページを捲った