第16章 臨時マネージャー就任
「苗字」
『わ!あ、火神君、なんで!?』
「いや練習早く終わったから見に来るついでに迎えに来た」
『え…ありがとう?』
「おう」
丁度火神のことを考えていたから必要以上に驚いてしまったが、彼は特に気にしていないようで苗字はほっと胸を撫で下ろす
「あら火神君、いらっしゃい。うちのエースと対戦してく?」
「もちろんそのつもりだ!…です」
「もう少しで自主練の時間だから少し待っててちょうだい」
「ウス」
「そういえば火神君、来月の合宿どうする?参加できる?」
「参加するに決まってる!だろ!です」
『火神君の変な敬語久々に聞いた』
「相変わらずなのよコレ、ありがとう
ウチの子たちも火神君が来ると喜ぶわ。名前ちゃんも来るからよろしくね」
「行くのか」
『うん。お手伝いに』
事前に苗字が誠凛の臨時マネージャーをやっていると聞いているので、彼女が合宿に来ることに疑問は抱かなかった
話しているうちに今日の練習の山すべてが終わり、あとは自主練習となる
マネージャーがやることはそこまでないが、火神が彼らの練習に付き合うのであれば待った方が良いだろう
自主練習で部員ほぼ全員と1on1したのではないかというくらい戦った火神を待てば、外はすっかり真っ暗になっていた
『苗字、帰るか』
『あ、うん。リコさんまた明日、よろしくお願いします。』
「はーい待ってるわね!」
まだ自主練習を続けている人がいたが、彼らを待つ必要はない
「また明日!」と声をかけてくれる後輩に手を振って体育館をあとにした