第16章 臨時マネージャー就任
夏休みも終わりすっかり秋らしくなってきた
大学も勝手に夏休み延長する訳には行かないので遅刻、自主休講せずにしっかり通っている
ようやく休みボケから慣れたある日の午後の眠たい時間、睡魔が苗字を襲うが何とか90分耐えて教授の話を聞く
講義終了後、帰ろうかと荷物をまとめていると机に影ができ彼女は何かと顔を上げる
『黒子君』
「こんにちは名前さん」
『この講義必修だもんねいるかなって思ってた』
「ボクもです。探しちゃいました」
黒子と苗字が講義が被ることはよくあった
根が真面目な者同士、基本的にさぼる事なんてしないのもその理由の1つで、講義が始まる前に会うと隣に座ることも珍しくは無い
「ボク今日はもうこれで帰るんですが、名前さんは?」
『私も。今日1限からだから疲れちゃった』
「そうなんですね、ボクも朝練あったので」
『なおのこと大変だね』
「でも今日午後練休みなんです。2部残留がひとまず決まったので」
『そうなんだ。おめでとう…では、ないよね?』
「はい。1部に上がるのが目標なので」
他の人に比べ喜怒哀楽が分かりづらい黒子の顔が変わる。彼の決意の固さが表情だけで伝わってきた
「ボクこの後誠凛高校の練習に行くんです。良かったら名前さんもどうですか」
『誠凛に?』
「はい」
今日の予定を思い浮かべるが、特に何もない。どうせやることなど何も無いと悲しい気持ちに一瞬なるが、振り払い口を開く
『邪魔じゃなかったら行っていいかな』
「もちろんです。カントクに連絡しておきますね」
『うん。じゃあよろしくお願いします』
黒子と苗字は大学を後にし、電車に乗って誠凛に向かう
その際のさり気ないエスコートがなんだか赤司のようで、苗字は少し笑ってしまった