第15章 みんな一緒に
「楽しかったか」
『うん。ボーリング初めてやったかな』
「まさか試合の後にボーリングするとは思ってなかったな」
『そうだよね…お疲れ様火神君』
「苗字もな」
疲れているせいか沈黙が続く
赤信号で立ち止まり、当たり障りのない彼のチームのスコアを聞く
『火神君のチームは誰が1番だったの?』
「それが灰崎なんだよなあ…強奪で近くにいた上手い人のフォーム真似しやがってよ…」
『へー紫原君は?」
「お腹空いてやる気出ねえって適当に投げてたな」
『緑間君は?』
「あいつテーピング外さずやっててたんだよな、爪の掛かりが変わると困るって」
『うーんバスケ命…』
容易に想像できる緑間の様子に笑っていると、苗字が最初ストライクを取っていたことを火神は思い出す
「苗字ストライクとってたな」
『最初と何回かだけだよ、あとは全然だったかなー』
「1番虹村さんか?」
『うん。2番高尾君で3番黒子君』
「予想通りだな」
『赤司君のところはー…言わずもがなって感じだよね』
「まあな」
赤司のスコアを思い出しながら、彼に苦手なものなんてあるのだろうかと考える
そんな彼らの間に風が吹く、昼間とは違って冷たい風に秋が近づいてることが分かる
「もうすぐ夏休み終わっちまうな」
『名残惜しいね』
「悪いな、遊べなくて」
『大丈夫だよ、バスケで忙しいの知ってるから』
とはいえどこか出かけられないのも寂しいが、口にはしなかった
彼を困らせてしまうのは分かっているし、それよりなにより1つどうしようもないことが分かっているのだ。それも口にするつもりはないが
『今度火神君の家にご飯食べ行っていい?』
「ああ、バスケ落ち着いてからでもいいか?」
『うん。大丈夫』
火神がコクリと頷く苗字の頭をわしゃわしゃと撫でる
髪がボサボサになることを指摘しながらも彼女は少し嬉しそうだった