第15章 みんな一緒に
駅につき電車に乗ると桃井と火神の間に挟まれる
お好み焼き屋でもこんな座席ではなかっただろうかと思いながら、苗字は火神が持つパンパンに詰まったビニール袋の中身を覗く
『火神君、何をそんなに買ったの?』
「飲み物とメシ、冷蔵庫空だったんだよな」
『帰りのコンビニで買えばいいのに、火神君面白いね』
「どこで買ったって買わんねえだろ」
反対側の席に座る紫原はお菓子を食べるのは我慢しているようで、ひたすらチューイングキャンディを食べていた
最寄り駅に到着する頃には既に銀色の包み紙が大量に小さな袋に入っている
電車を降りると、赤司が火神に近づく
「火神、名前を送ってやってくれ」
「ああ、わーってるよ」
「青峰も、桃井を頼むぞ」
「へーへー」
「気をつけて帰れよ。あとちゃんと風呂入ってから寝ろ」
「虹村さんってこんな母親みたいなの真ちゃん」
「昔からなのだよ」
「じゃあ、また試合で」
赤司の一言でそれぞれが声を掛け合い家の方向へと歩き出す
ぼーっと彼らの背中を見ている苗字に火神が声を掛ける
「行くぞ苗字」
『あ、うん』
こんなにも大人数で遊べたことが楽しかったので、なんだか帰るのが名残惜しくなってしまう
そう思ってもしょうがないと足を進め、しばらくして振り返ると桃井がこちらを向いていた
気付いたのか手を振っていたので、思わず笑顔で振り返した