第12章 夏祭り 前編
集合場所に着くと分かりやすい背の高い集団が目に入る
和服という珍しい格好に少し違和感はあるがみんなよく似合っている
声をかけようとしたその時、桃色のクリっとした瞳がこちらを向いた
「名前ちゃーん!かわいい!」
『ありがとう!さつきちゃんも、すごい似合ってる!』
「えへ、ありがとう。」
「紫原はもう食ってんのか」
「うん、美味しいよ~」
紫原は唯一甚平姿で、よくあのサイズがあったとも思う。そしてよく目立つ
火神は紫原の持っている食べ物に感化されたのか、1回買ってくる!とどっかに行ってしまった
「あとは緑間と高尾だね。珍しいな」
「道が混んでてリアカーが進まないんじゃないスか~?」
「流石に和服でリアカー漕いでたら話題になりますよ」
「緑間が運勢悪くて外に出たくないんじゃねぇの?」
「今日のおは朝のかに座そこまで悪くなかったと思うんだけどなぁ」
意見交換する中、紫原だけは何も言わずモグモグと自分の腕の中にある食べ物を消費していく
そのうち買いに出ていた火神も戻ってきてしまい、2人の心配し始めた頃、ようやく緑間と高尾が現れた
「ごめーん遅れちった!」
「遅かったな、心配したよ」
「リアカーで来たんスか?」
「いや流石に今日リアカーは無理っしょ。電車と歩き」
「遅延ですか?」
「いや真ちゃんのおは朝案件」
「…何だったの?ラッキーアイテム」
「フライパンだ」
「フライパン」
「さすがに夏祭りに持ってくにはでかくね?と思って、
一回オレの家行って昔使ってた妹のおままごと用のフライパン取ってきたんだわ」
確かにピンク色の小さくて可愛いフライパンの持ち手のようなものが巾着から顔を出している
無事に揃った事だしとみんなで祭り会場に歩き出すと、露店がズラッと並んでいた
「名前さんは何が食べたいですか?」
『えー、火神君と紫原君が食べてるの全部美味しそう』
「火神君の真似したらお腹痛くなっちゃいますよ」
「あはっはらふっへはるほ」
「なんて言ってるのか分からないのだよ」