第4章 ~OSHITARI KENYA~
「ん.....」
重い瞼を開けるとうす暗い中、天井が見える
(そうか、私あのまま....)
家に誰もいないと知った謙也のお父さんの好意で、診察が終わるとそのまま診察室のベッドで休ませてもらった
薬が効いたのか私はすぐに深い眠りに落ち、今に至る
(まだ少しダルイけど...だいぶ軽くなった)
汗をかいた額を手で拭うと、ふいに気配を感じ取り私は首をそちらに向けた
「謙.....也?」
そこにはソファに腰かけたまま眠る謙也の姿、わざわざ持ってきたのか毛布にくるまり寝息をたてていた
「....ホントに、優し過ぎだよ...」
私は胸がキュウッと苦しくなり毛布を被り直した
そしてありがとうと呟くとまた深い眠りに落ちていった
―――――
次に目が覚めると外は明るくなっていて、謙也の姿はなかった
少し寂しさを感じた私は起き上がると診察室を出た
「?」
すぐに謙也は見つかり私は内心ほっとして謙也に歩み寄った
「もっと寝とかなアカンやろ?」
「大丈夫、薬効いたし診療も始まるでしょ?帰ろうと思って」
「そんなん気にせんでエエのに」
「ううん、いっぱいお世話になったし...」
「....なら送ってくわ」
謙也はあまり納得してない顔だったが私の申し出を聞き入れてくれた
私は謙也の家族にお礼を言うと謙也の家を後にした
「ごめんね、送ってもらっちゃって」
「そんなんエエって、病人一人で帰せんし」
「もう大丈夫だよ?謙也のお父さんのおかげで楽に―――」
「なぁ...なんで言えへんの?」
「え?」
「なんで辛いって言わへんねん!!」
私はその謙也の真剣な表情に言葉を失った