第4章 ~OSHITARI KENYA~
急に肩を掴まれたは驚いたように目を丸くしている
「すまん!!オレ...女の子とかそんな呼び捨てとかあんましたことなかってん、やからなんかヘンに意識してもうて...やから...」
「うん...」
はそれだけ言うと優しく微笑み、謙也を見つめる
謙也はその目がなにを言いたいのか解り、大きく息を吸った
「......」
その小さな呟きをしっかりと聞き取ったはありがとうと言うと満面の笑みを浮かべて屋上を後にした
謙也はまたしゃがみこむと真っ赤な耳を隠すように頭を抱えた
が屋上の階段を降りた所に見知った人が壁に凭れて立っていた
「蔵!」
「その様子やと名前呼んでもらえたんや?」
「ええ、でも...見てた人のセリフじゃないんじゃない?」
「たまたまやって、屋上には俺の育てとる毒草もあるし」
「へー...」
が屋上の方を眺めているといきなり白石はの腕を引っ張り自分に引き寄せた
「謙也のコト...好きなん?」
「....どうして?」
蔵がすごく近い
息遣いでも聞こえそうなほど近いのに
私はその手を払う事をしなかった
「謙也は純粋で素直なヤツやから...からかうんなら俺にしとき」
「それって蔵が私のこと好きってこと?」
「さあ...でもさっきの謙也への、俺にはちゃうように見えてん」
別に呼び方なんてどうでもいい
そうやって自分のコトばっかり考えて
ヤキモキすればいい
そういう風に聞こえた
「....どうだろ?自分でも分かんない、でも...謙也が私のコトでいっぱいいっぱいになってるのを見るとすごく嬉しくなる」
「ってSやったん?」
「違うと思うけど...」
「ふーん...」
そう言うと蔵は私の手を離した
「蔵って優しいよね」
「え?」
「謙也が心配だったんでしょ?私って信用ないな~」
「俺のが少しだけ付き合い長いしな、謙也をたぶらかすヤツは女でも天誅や」
「さっきのは本心だし別にからかったりしない、謙也はすごくいい人だし...もちろん蔵も」
「さよか、なら大丈夫やな」
蔵は私の頭をポンポンと撫でるとその場を去って行った
「好き...」
言葉に出してみてもまだその意味は解らなかった