第4章 ~OSHITARI KENYA~
「どっから見とったんや」
「え?」
白石の顔は笑っておらずオサムは冷や汗が伝う
「珍しく部活に顔出したかと思ったら...ただの冷やかしか」
「いや、ただ白石が女連れてくるなんて珍しいな~て...」
「で?しかも転校してきたばっかの子やし?そんなん考える暇あったらちゃんと部活に顔出してくださいよ...」
白石はハアとため息をつくとヤレヤレと言った感じでラケットを持ちドアに向かっていく
「あ、ちなみに俺が彼女連れてきたんはそんなんやないですから..彼女がテニス部やったって聞いたんで、それだけです」
「アホやな...それだけでわざわざ連れてくるかい」
部室を出て行った白石を見送りながらポツリと呟いたオサムはニヤッと笑い部室を後にした
「お嬢ーさん♪ボクと茶でもしばきません?」
耳元で聞こえたその声に私は驚いて振りかえる
と、そこにはニカッと笑っている渡邊先生の姿
「先生?教師が校内でナンパですか?」
「まぁそんなとこや♪」
「何それ...」
クスクス笑うにオサムは自然と笑みが漏れる
(オッサンの俺が言うのもあれやが…ホンマにキレイな子やな)
「おっ!!お前話せるヤツやなー、そんな子にはコケシやろう」
「こけし?」
先生はどこから出したのかこけしを差し出した
私はよく分からないが手を出して受け取ろうとすると
サッと手を引かれこけしは先生のポケットに収まった
「先生?」
「こけしあげるんには条件がある、テニス部入らんか?」