第4章 ~OSHITARI KENYA~
「なぁ...もしかして春休み観に来とった?」
「え?見られてた?」
その言葉に俺は納得がいった
自分は見れなかったが、皆が声を揃えて美人だと言ったのがさんなら合点がいく
「球がラケットに当たる音が好きなの、気が付いたらいつも観に来ちゃってた」
「さよか...」
この子はただのミーハーなだけと違い純粋にテニスが好きなんやな
「でも俺らがテニス部って知らんかったよな?これでも関西じゃちょっとは名知られてんのやけど」
「あははっ全然見てなかった♪」
あぁ、この子エエな....
謙也がホレるのも時間の問題かも―――
「ならそろそろ行くわ、もう少し見ていくんやろ?」
「うん、誘ってくれてありがとう♪」
「謙也だけやのーて俺の雄姿も見とってな」
そう言ってニコッと笑うと俺は部室へと入っていった
部室に入ると珍しく顧問の渡邊オサムがいて、
飄々とした態度で机に腰かけていた
「センセ、珍しいですね?なんかありました?」
「なんかなきゃおったらアカンかぁ?」
「いや、アカンくないですけど...」
「部長やのに遅かったやないか~、何かあったんか?」
「はぁ、別に」
俺は着替えながら適当に相槌を打つ
「やったっけ?可愛ぇもんな~」
このオッサン...知ってて言いよったな
俺は小さく溜息をついてオサムに向き直った