第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
蔵はそんな私を優しく包むと泣き止むまで抱きしめてくれた
その間、蔵はずっと私にゴメンと謝り続けていた
「....は...ぁ...」
ひとしきり泣いた私の涙を蔵の長い指が拭ってくれる
その優しい仕草に触れられた所が熱を帯びていく
「アカンな...」
ポツリと呟いた蔵に私は首を傾けた
「こない可愛い...誰にも見せたないなぁ」
そう言ってまだ涙で滲む瞳を見つめると瞼にキスを落とした
「く、蔵....///」
私は途端に恥ずかしくなり瞳を伏せた
蔵のフッと言う笑い声が聞こえたと思うと頬に手を添えられ顔を上げられる
「っ.....」
視線の合った蔵の顔はとても綺麗で、
それよりも久々に見る蔵の笑顔にまた目頭が熱くなった
「やっと見れた...蔵の笑った顔...」
「ん...ずっと考えとった、には俺よりもっとええ人がおるんちゃうかなって...でもやっぱ嫌や、を離したない...が好きや」
「私も....私もイヤ、蔵じゃなきゃヤ...」
「うん...」
「蔵が...好き」
「うん...もう絶対に泣かせたりせぇへんから...」
私たちはギュッと抱き合うと顔を見合わせて笑った
それはお互いにとって今までで一番の綺麗な顔で
赤い夕日が照れたように私達を照らし続けていた
SHIRAISHI KURANOSUKE FIN