第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
力加減もなく強引に引き寄せられた私は、言葉尻を奪うように蔵の唇で塞がれる
「んぅっ.....!?」
私は驚きのあまり目を見開くと蔵から逃れようとする
だが体はしっかりと抱きとめられ、頭も固定されてて動けない
蔵は何度も角度を変えて私の唇を食む
最初は粗々しいだけの動きも次第に甘く優しいものに変わっていった
「は....ぁ....く、ら...」
吐息が重なり蔵の体温を感じる
私は自然と瞳が潤んで目尻を濡らす
私の強張っていた体から次第に力が抜けていくのが分かる
混乱しているはずなのに蔵を受け入れている自分がいて
私はきゅっと力なく蔵のシャツを握りしめた
それに反応したのか蔵は固定していた手を解くと、
私の髪を梳き耳に唇をよせる
耳から伝わってきた吐息交じりの言葉に私は一筋の涙を流した
「ぁ.......」
好き
その短い言葉ははっきりと私に届いた
ずっと聞きたくて聞けなかった言葉
私は次々に溢れてくる涙を抑えられず蔵を仰ぎ見た
蔵の視線は熱を帯びていて危うく揺れるその瞳は私だけを映していて
「蔵.....ホントに?」
「が好き、大好きや...」
私はその言葉に視界が歪み、涙で何もみえなくなってしまった