第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
新学期、白石は3-2と書かれた教室へ入っていく
「お~白石!!」
「なんや、謙也も一緒やったんか」
俺は豪快に手ぇ振る謙也を見ると謙也の後ろの席へとつく
席つく間に何人もが白石くんと言っているのが聞こえたが
気にも留めず謙也に話しかける
「また脱色したんか?前より金パにみがきかかっとるなー」
「おん!かっこええやろ!?」
「せやなー...」
俺は適当に相槌くと胞杖をつき、外を眺める
少し大きめの学生服を着て、少し緊張気味に門をくぐる新入生達を見ながらふっと笑みを漏らす
そんな白石の姿を見て女子達が控えめに歓声を漏らしているのを見て謙也は大きくため息をついた
「あーあ、俺のがこんな目立つ髪してんのに...さすが聖書と呼ばれる男はちゃうなー?」
白石はプレイスタイルが基本に忠実なパーフェクトテニスで、通称「聖書(バイブル)」と呼ばれ、冷静さと集中力、部長としての責任感も兼ね備えていてまさに完璧であった
「謙也よりはなー」
白石は本気か冗談か分からないトーンで応えた
「おい..でも真面目な話、こんだけキャーキャー言われても何も思わんか?結構かわいい子も多いで?」
「そりゃ応援してくれるのはありがたいけどな、今はテニスのが大事やし...謙也かてそうやろ?」
「まぁそうやけど..」
「あとどーもあの圧が苦手やねん」
「まぁお前は逆ナンとかダメやもんなぁ」
「それに...」
俺は登校してくる一人の女の子に目を留める
顔は見えないものの背筋をシャンと伸ばして歩く姿は所作がとても綺麗で
周りを歩く奴らも振り返ったり足を止めたりして
(だぶん綺麗な子なんやろなぁ...)
新入生か?そんな事を思いながら見ているとあっという間に視界からいなくなった