第2章 ~prologue~
「なんや~?えらい騒がしいな」
「謙也さん達、どないしたんです?」
光が謙也達に近寄ると謙也は光に後ろからがばっと抱きついた
「ちょっ!?なんなんすか!?」
「見てみぃ財前!!おったで~!!!!!」
光の顔をフェンスの端に向けると謙也達は反応を待った
「....? ....何がおったって?」
光の反応に謙也達がフェンスを見る
「あ?なんやおらんなっとる!?」
「ホンマや!!いつの間に!?」
「謙也、どないしたん?」
わーわー騒ぐ謙也達に白石が近寄りながらフェンスの方を眺める
白石の視線を感じ取ったのか、女子達の歓声があちらこちらから聞こえてくる
「おう白石、相変わらず人気もんやなぁ...?そんなモテ男君には教えられんっちゅー話や」
ふふんと勝ち誇ったように言う謙也に目もくれず白石は話を続ける
「...で?どないしたんユウジ」
「シカトかいっっ!!?」
「いやな、さっきそこにものごっつ美人がおってん」
「美人?...へ~....なんやそないな子見当たらんなぁ」
「あら蔵りんたらしれっと毒舌なんやから♪」
「白石残念やったね~あんなむぞらしか子めったに見れんばい」
「なんや皆揃ってベタ褒めやな?そんなに綺麗やったんか」
「「たぶん」」
声を揃えた曖昧な答えに白石は目を丸くする
「は?皆見たんやなかったんか?」
「見るには見たんやけど~なんせこっからかなり遠いしな」
「そうそう、なんや出てるオーラというか雰囲気というか...
とにかく美人やってん」
「はっきりせんな~それでよう皆揃うな?」
「でも白石、そん娘長い黒髪なびかせとって...さつきちゃんごたあったもん~」
「またトトロか、千歳の中でさつきちゃんが大きうなったらロングになった事はよう分かった...財前は?」
「見れんかったっすわ」
少し残念そうな顔なのか、ずっとくっついている謙也に対しての顔なのか不機嫌そうに光は答えた
「ならこの話は終いや、ええかげん練習戻んで?」
白石の声にぞろぞろとばらけていく
そんな中、皆はそれぞれもう一度いたであろうフェンスの端を見やるのであった
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