第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
「離し...」
は身じろぐも謙也の腕はをしっかりと抱きしめていて離さない
「オレじゃアカン?オレじゃ白石の代わりにはならんか!?」
その言葉には動きを止める
「ずっと知っとった...が白石のコト好きなん知っててん...今泣いとるんやってアイツのせいやろ?」
「謙....」
「オレやったらこんな風にを泣かせんっちゅー話や...」
よりぎゅっと抱きしめられ謙也の温かさを感じる
その温かさに縋るようには謙也の背中に手を回すと枯れるまで泣き続けた
そんな2人の様子を遠くから眺めていた彼
包帯を巻いた手をぐっと握りしめるとその場を立ち去った
暫くして落ち着きを取り戻してきた私はそっと謙也から離れる
「もうエエの?」
「ん...大丈夫...ごめんね、ありがとう」
「エエってそんなん」
謙也はそう言うと優しく私の頭を撫でる
今の私にとってそれがすごく心地よくて私は静かに目を閉じた
そんな私の気持ちを汲み取ったのか謙也は至極優しく撫で続けてくれる
「なぁ...デートせぇへん?」
「え?」
私はその声にパチッと目を開け瞬かせる
「今度の休み...いや、デートっちゅーか少しでもの気晴らしにでもなればエエなぁ~なんて...」
顔を赤らめながら必死で言葉を探す姿に私は思わずクスッっと笑ってしまった
「いいよ...」
「へっ!?」
「デート...するんでしょう?」
「お、おん!!」
私たちはお互いに顔を見合わせて微笑んだ
これでいいんだ
自分の気持ちは十分伝えたんだから
もう蔵のことは忘れよう