第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
流れる涙は拭っても拭っても溢れてくる
は泣きながら走り続けた
「おー遅かったやないか...って..!?」
顔を伏せ走り去るの様子がただ事ではないと感じた謙也はすぐにの後を追いかけた
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白石はベッドに倒れたまま目を閉じていた
閉じると先程の光景が浮かんできて、白石は手の甲で唇を覆った
消そうと思っても浮かんでくるのはの涙
悲しみを存分に含んだ涙が
切なさで揺らいだ瞳がどうにも消えてくれない
「こんなんが見たかったとちゃう...」
白石はポツリと呟くと、の涙で濡れた頬を拭い駆けだした
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「!!!」
追いついた謙也がの肩を掴む
は足を止めると振り返ることなく立ちすくした
「なにがあったん?なんで...なんで泣いてるん」
「謙也.....」
は絞り出した声でそれだけ呟くと後はなにを言っても首を振るだけだった
嗚咽まじりの鳴き声が響く
謙也は唇を噛みしめ、を引き寄せるときつく抱きしめた