第2章 ~prologue~
「あ、また見に来とる!鈴木さんやっけ?
あの子エエ感じやなぁ...」
「おっぱいでかかもんねー」
謙也がジッと見ていると、長身で天然パーマの千歳千里が顔を出す
「そ、それだけやないっちゅうねんっっ!!!」
「諦め、ありゃ白石ねらいやで」
ユウジが目配せすると、前で後輩と話している部長の白石蔵之介が目に入る
確かに白石は二年の時から部長を務めテニスの実績も折紙付きなだけでなく、その容姿も群を抜いていた
(おまけに面倒見もよく性格もいいときたら...勝ち目あらへんっちゅー話や)
「...っ...し....舌かめしらいし...!!!!」
「した..お前ほんまエエ奴やなぁ」
「所詮顔かあぁぁぁぁぁ....」
「や、お前も充分イケメンなんやけどな、かすんでるだけで」
「誰が地味やねん!!!...ユウジかてどうせ白石とオレやったら白石選ぶんゃ----」
「いや、小春やし」
「一氏、こーいう時はウソでも謙也って言うたらないかん、俺やったら謙也選ぶばい それが優しさったい」
「もうちょっと上手くできんか千歳」
「ほら元気だしや、謙也1組の田中さんかわええてゆっとったやん、忍足君かっこええわ~❤」
ユウジは得意の声色を使って謙也の耳元で囁く
「うおっ...おおきに...」
「まぁその田中さんも白石狙いなんやけどな」
「舌噛め白石...ッ!!!!!」
そんなやり取りの中、白石は1年の財前光と話していた
「じゃあ奥の右から2番目はどうです?」
「せやなぁ..うーん...うちの部員より可愛い子おらんな...
うちの子最高!!!」
「どんだけ身内びいきやねん...」
「財前なんか言うたかー?」
「なんもないっすわ」
そう言いながら光は後ろをうかがっている
白石もそちらに目をやると、騒いでいたレギュラー陣が先ほどの比にならないくらいに騒いでいた