第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
手鏡を見ながら髪や制服を整えていく
(うわ、ボサボサだし制服シワになっちゃった最悪...)
するとドアが開く音がして誰かが入ってくる気配がする
「謙也...?」
私はベッドから降りるとその気配の主に声をかけた
振り返ったその人を見て、私は咄嗟に足を止めた
「蔵....」
委員の当番だったらしく蔵は一瞬驚いたような顔をするも何事もなかったかのように作業を始める
「...まだおったんやな」
「え?..うん..」
「大丈夫か?」
「ぁ...もう平気」
「さよか」
沈黙...
蔵から話しかけられて嬉しいはずなのになんて言ったらいいのか分かんない
私が黙っているとまた蔵から話しかけられる
「謙也」
「え?」
「謙也やなくて悪かったなぁ」
そう言う蔵は笑っていて、私はドクンと心臓が鳴り戸惑いを隠せない
「荷物持って急いで教室出てったからてっきり一緒に帰ったんかと思ったわ」
「蔵、あのね...」
「謙也は優しいし男の俺から見ても恰好ええ、オススメやで」
その言葉が重くのしかかる
言われた相手が悪かった
蔵じゃなかったらここまでの気持ちにならなかったのに
ああダメだ
うまく呼吸ができない
息が苦しい
どうして
どうして
どうして
私は蔵の腕を乱暴に掴むと近くのベッドに押し倒した