第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
その日、私は朝からダルかった
体育館では男女に別れバスケの試合が行われていて、
私は出番でない時は隅っこで目を閉じていた
(最近寝不足だったからかな...)
重たい瞼を開け、ふいに男子のコートに目をやると、蔵の姿が見える
蔵は運動神経のよさで相手を交わしゴールを決める
その度に女子達から歓声が上がった
(さすが基本に忠実...)
他のスポーツでも関係ないような綺麗なフォームに暫く見とれていると、胸の奥底で微かに温かさを感じ私は眉を潜めた
(まだ諦められていないの?)
私は自分に生じた想いに苛立ちを感じ、それを振り払うかのようにコートへ入っていった
白石は自分の出番が終わると汗を拭きながら謙也の横に座った
「おー大活躍やん!!」
「あぁ...」
「でも、なんや自分らしくないなぁ」
その問いかけに白石は動きを止め謙也を見る
しかし謙也はそれ以上言うつもりもないのか女子の方を眺めた
「おっ!!見てみぃ白石、が試合出とるで!!」
「....ホンマやな」
視線を向けるとが華麗な動きで相手を翻弄しているのが見える
「さすがやなー相手ん子バスケ部やで?」
白石は相手を寄せ付けない動きのに多少の違和感を感じる
「....謙也、なんかちゃうよな?」
「あ?ちゃうってナンが?」
(なんか...いつもとちゃうような...顔色悪い?)
「や、気のせいゃ....」
白石は違和感の正体に疑問を持ちつつもコートに戻っていった