第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
好き
謙也が私のコトを好き?
確かにそう聞こえた
というか間違うはずない、だって私は今、謙也の胸の中にいるから
しっかりと抱きしめられる体はまた違った感触で
不謹慎にも蔵とは違う、そう思ってしまった
(どうしよう...)
私は告白されたのは初めてじゃないけど相手はいつも身近にいる人で、自分でも珍しく言葉が見つからなかった
「謙也、あの...」
そこまで言って私は言葉が出なくなった
謙也の体は自分では気づいていないだろうけど微かに震えていたから...
どのくらいそうしていたのか暫くして謙也はそっと体を離した
「急でビビッたやろ?」
私はフルフルと首を横に振った
「ずっとな、ずっと好きやってん...自分でも言うつもりなかってんけど...ゴメンな」
「謙也....」
そう言ってヘラッ笑う謙也になんて言ったらいいのか分からない
でも私が好きなのは...
「いやっ別に返事が欲しいとかそんなんちゃうねん!!
自分でもビックリしとるくらいやし、うんっ!!そんなんとちゃう」
多分眉を下げて困る私に見かねて言ってるんだろう
謙也はつとめて明るく振る舞う
「はオレのコト嫌いか?」
「そんなワケない!!」
「なら少しでも、オレのコト考えてくれたらええなって...アカンかなぁ」
私はその言葉にコクリと頷いた
こんなにも必死でちゃんと想いを伝えてくれる謙也に
すぐ返事をするのは失礼だと思った
ちゃんと、しっかりと考えて
そして自分の言葉で返事をしよう
そう思った