第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
秋祭りの当日、蔵から携帯に電話がかかってきた
「ごめん、急な用ができてもうて...行けんくなったわ」
「そっか、仕方ないよ!!気にしないで」
「ほんまごめんな...」
電話を切った後、私はふぅとため息をついた
用事なんだから仕方ないんだけど、やっぱり蔵と行きたかった
私は出してある浴衣を見てまたため息をついた
暫くして、着信が鳴った
私は電話に出ると浴衣に手をかけた
――――――
「!!」
待ち合わせの神社前、私に向かって勢いよく走ってくる人を見て私は笑みを浮かべた
「謙也...」
「待たせてもうたか?」
「んーん、さっき来たとこ」
「そか...てか、むっちゃ可愛ぇ...」
藍地に金魚の柄が映えている浴衣に大ぶりに帯が巻かれていて、髪は緩く編みこんでいて、華やかなのにどこか清楚なの姿に謙也は見とれてしまった
「そうかな?普通だと思うけど...髪だってよくアップにしてるし」
「いやっなんか雰囲気変わるっちゅーか、むっちゃ綺麗や...」
「ぁ...ありがとう、もう行こ」
少し照れたように瞼を伏せたが急かすように俺の背中を押す
(ホンマに可愛ぇ...白石に感謝、やな)
祭りの当日、白石に祭りのコトを聞いた
が行きたがっているコトも教えてくれた
急やったからOKもらえるか不安やったけど...
「よかった~」
「ん?謙也なんか言った?」
「いや、ナンもないわ♪」
出店をまわっているとがどんだけ美人か分かる
こんだけの人がおるのに男らは振り返ってを見とる
男だけやのうて女ん子でさえも見とるのには全く気付かない
(オレがしっかりせんと...ナンパだけやのうてすぐに連れてかれてまう!!)
そんな心配を余所には祭りを楽しんでいる
「謙也!!たこ焼きー♪」
「おん!!食おか!!」